インタビュー
2020-12-25 10:00
「マイナスなことは何もない」転職せずに事業創りを経験できる価値
Co-founders Interview―働きながらスタートアップ創出体験
「マイナスなことは何もない」転職せずに事業創りを経験できる価値
Beyond Next Venturesが提供する、国内トップの研究者と共にスタートアップを創る、
起業家/社内起業家育成プログラム(Innovation Leaders Program)は、未来の起業家・社内起業家を育成する取り組みです。
今回は、第7期(2020/09~)に参加をされた、お二人にインタビューを実施。
マーケティングを得意とするお二人が、研究者との事業創出を経験する中で感じたこととは?
<今回インタビューにご協力頂いた方>
GEヘルスケア・ジャパン株式会社 勤務 山本 ひかる氏 | |
| 製造業向けBtoBプラットフォーマー 勤務 嶋田 真奈氏 |
今回のプログラム(7期)では、どんな研究の事業化に取り組みましたか。
山本さん(以下、山本)
私はヘルスケア領域の中のフェムテックに関する新規事業に参加しました。
婦人科疾患領域の医療サービスを提供する事業に携わっていました。
私が応募した時はまだ事業化前でしたが、今は起業され数名のメンバーで事業拡大に向けて取り組みを進めています
勤務先では医療機器ビジネスのマーケティングに携わっているので、それを活かしてプログラム参加中は
市場調査や参入すべき領域の選定、成功するための要因(KSF)などを調べて、資料にまとめたりしていました。
嶋田さん(以下、嶋田)
私はグリラスという、創業初期の昆虫食事業を手がけている企業にジョインしました。
山本さんが入られた会社よりは、規模は大きくセールスや商品開発などの役割が社内で決まっていました。
その中で、私も本職でマーケティングに近しい仕事を担当していることもあり、会社やプロダクトのブランディング戦略の立案などの仕事を担当しました。
プログラムでの事業創りに挑まれた動機は?
山本
大きくは2つ理由があります。
1つ目は、自分のビジネススキルやマーケティングのノウハウがどの程度通用するか、社外でチャレンジし試したかったためです。
広い意味で同じ医療業界だったので自分としても貢献しやすいかと参加前は思っていましたが、
実際には少しでも本業の領域から離れると分からないことだらけで、発見と新たに出てくる疑問の連続でした。
2つ目は、新しい市場に参入する面白さ・ワクワク感を再び経験したかったためです。
結婚を機に地元に戻り現職に転職したのですが、その前は手術用ロボットのスタートアップで
働いていたため、新規事業の立ち上げには興味がありました。
しかしその一方で、ライフイベントとのバランスも保ちたかったため、スタートアップに今すぐ転職する選択肢はありませんでした。
このプログラムは、描いているキャリアプランや勤務先での立場を維持したまま参加できるので、
リスクを抑えて新規事業に挑戦できる、新しい経験を積めるのが魅力的でした。
嶋田
本業以外のことに挑戦しようと考えていたタイミングだったこともあります。
昆虫食は全く実務では経験がありませんでしたが、以前からSNS上で面白そうだと思っていたので、思い切って応募しました。
プログラムという形式で事業創りができる魅力は?
嶋田
現状を維持しつつ、経営者に近い視点で事業に伴走できる点ではないでしょうか。
例えばアドバイザリーやコンサルの立場でスタートアップと関わる場合、リスクは抑えられるものの
上下関係ができてしまいフラットな関係で仕事をするのが難しい。一方で、スタートアップにジョインをするのも、
急激な環境の変化や生活と仕事のバランスを考えると、簡単な意思決定ではありません。
その点このプログラムに夜事業創りの機会を利用すれば、リスクを抑えつつ、事業創りに関われます。
これは他では体験できないユニークな点だと思います。
山本
「挑戦したいこと」のイメージがまだ固まっていなくとも参加できるのも良い点ではないでしょうか。
前提としてチャレンジする意思は必要ですが、参加しながら自分が挑戦したいことの方向性を明確にしていける機会は貴重だと思いました。
大企業の中にいながらスタートアップでの働き方や考え方を学ぶのは簡単ではありません。
そこを解決できるのは、プログラムという形式の魅力でした。
生活と仕事の傍ら、事業づくりに参加をするのは大変では?
山本
平日は仕事が遅いことが多かったので、主に土日に連絡をとったり資料を作ったりしていました。
勤務先での業務に支障がでないよう、ジョインしたタイミングで関わり方を相談していたので、無理をしている感覚はありませんでした。
嶋田
私は仕事を定時に切り上げ、平日の夜にコミットしていました。
土日はミーティングには参加していましたが、プライベートの時間も十分確保できていましたね。
プログラムに参加する際にコミット可能な時間を先方に共有していましたし、
私たちの、本業を持った立場についても先方は理解してくださっていたので、関わり方の自由度は高かったです。
客観的に自分のことを見つめ直す機会になった3ヶ月間
事業作りから得た経験・気づきはありますか?
山本
起業家の、事業に対する意思決定のスピード感を間近で感じられたことでしょうか。
スタートアップの初期では、これから5、10年と事業を急拡大させて、自分たちの事業を大成功させることを
全員が共通認識として持っていますし、そこにかける熱量も大きいです。
各意思決定に対してスピード感がありますし、論理的な根拠を集めるよりも走りながら進めること、
多面的に物事を見て同時並行で複数の案件を進めていくのが常です。
例えば、企業ロゴの決定、企業H Pの立ち上げ、特許戦略など今後に関わる重大な案件についても、
話がでたその日のうちから、目的の設定や業者の選定、詳細プロセスのブレイクダウンなどを同時に進め、
1週間後には大枠を仕上げていました。
これは意思決定のステークホルダーが多く、説得材料の提示が重視される大企業ではまず実現が難しいスピード感だと思います。
普段自分が慣れている環境とは仕事の回し方も時間感覚も異なっていて、遅れを取らないよう意識が必要な環境でした。
自ずと経営者と同じように「会社の成長のための最善策は?」という視点を意識するようになりましたし、
参加したことで、普段の仕事でも事業全体から逆算して考えたり、三手・四手先を以前より想像しつつ進めていくようになれたのではと思います。
嶋田
私の場合は、自分の働き方を再考するきっかけになりました。
プログラムに参加する前は「事業の立ち上げ=プレイヤーとして事業をつくる」と考えていましたが、
サポーターとして事業に関わる選択肢もあると知りました。
創業者やメンバーが壁にぶつかった時に、解を見つけるサポートができる存在のイメージです。
実際に参加後から、経営者やスタートアップの従業員で道に迷われている方にコーチングが
できるように、スクールに通い始めました。
今まで見えなかった、選択肢が見えるようになったのは、このプログラムに参加できたからだと思います。
どんな形で、専門性を生かすことができましたか?
山本
市場・競合分析方法やまとめ方については想像つきやすかったですが、
資金調達時に求められる事業計画や財務計画に沿って、長期的なロードマップを練る部分は
分からないことだらけでした。
新規事業に関わるのであれば、マーケティング以外の領域も勉強が必須だと痛感しました。
気づかなかった自分の強みが見えてくる?
山本
スタートアップでは何をするにしても時間とリソースが圧倒的に足りません。
そのため、通常業務では日常茶飯事で行われている、意見交換のための日程調整や議事録の作成、
ちょっとした調べ物、、等ですら、大きなサポートになりえます。
大企業にいると当たり前のように思っていた自分の習慣やスキルが、外では異なる評価をされうると学べるのは貴重ではないでしょうか。
圧倒的な当事者意識を求められる環境
最も貴重に感じた事はなんでしょう
嶋田
何がなんでも自分の事業を成功させるという想いを持った、創業者の方と働けたことです。
私の会社のCEOは起業する前も、15年以上コオロギの研究をしている方だったので、事業に対する愛着や力のかけ方が非常に強い方でした。
商品を売る際も、数字よりも先に実現したい世界や社会課題に対してどのようなスタンスをとるかから考えるのです。
そういった事業に対する熱い想いを隣で感じながら働いていると、自分も挑戦をしたい気持ちが
自然と湧き上がってきました。参加後も日常生活の中で食について考えたり、コオロギ食べてみたりと
自分の行動が変わりました。
山本
創業者の方のお話をセミナーなどで聞いたり、オンラインサロンなどに入ったりしても、
創業者の働き方や事業にかける想い、思考法といった深い部分まで知ることができる機会は少ないと思います。
一方で、プログラム参加中は事業に対して本音ベースで議論する、想いをシェアする機会が多々あります。
求められることも多いですが、自らの想いで事業を育てていく方とフラットに関われたのは貴重な経験でした。
どんな方にとって価値がある体験ですか?
山本
自分のキャリアにもっと何かをプラスしたいと感じている方、スキルを試してみたい方は、参加をお勧めしたいです。
自分の携わっている領域以外を勉強したいのであれば、それが経験できる環境に身を置いてしまうのが効率的です。
仕事を辞めるといったリスクを取らずに、創業者と事業をつくりながらノウハウを学べる体験はなかなかできません。
ただ一方で、求められる役割が曖昧だったり、すぐに変わったりもするので、
そんな状況でも柔軟にやるべきことを探して、楽しめる人でないと辛いかもしれません。
嶋田
事業の経営者や責任者の視点に立つ経験をしてみたい方にはお勧めしたいです。
私も参加期間中は気づいたら食や昆虫食のニュースを調べたり、日常の中で何が事業に
生かせるかを常に考えたりしていました。また議事録を取るという一見地味なアクション1つをとっても、
事業の成功にどのように繋げるかを常に意識するようになりました。
自分の仕事について、無我夢中で考える経験をしてみたい方にはこのプログラムは向いているのではないでしょうか。
社内での新規事業の立ち上げとは違いましたか?
山本
自社の新規事業は、自分が精通した領域だったり、精通していなくとも情報が入りやすい環境であることが多いです。
そうすると各調査やアクションも、一定の経験を元に行えるケースが多いのではないでしょうか。
一方でこのプログラムでは、自分が経験したことのない領域に挑むケースがほとんどなので、
0の状態からのアクションが求められます。となると、普段使っていなかったような情報収集能力や
マーケティングの感覚が鍛えられるので、そういった点でセミナーなどとは大きく異なってきます。
嶋田
最新の技術や特許に直接関われるという点も魅力です。
社内発の事業の場合、関与できる技術情報に立場や役割によって制限がかかることもありますが、
このプログラムでは全て知ろうとすれば知れます。
自分が今まで知り得なかった、未来に希望を持てるような技術を当事者として体感できるのもプログラムの魅力ではないでしょうか。
私自身まだ社会人3年目でプログラムに参加したので、参加当初は自分にできることがあるか不安でした。
しかし全力で取り組んで結果、驚くような出会いや経験があったので、将来のキャリアやスキルに不安を感じている
若い方や女性の方には、ぜひ一歩を踏み出してほしいですね。
山本
将来、大企業に成長する可能性を秘めた企業のCEOと密接に関われる機会は、滅多にありません。
素晴らしいリーダーシップをお持ちだったり、突出したスキルをお持ちだったり、
そうした経営陣メンバーとの貴重な出会いを求めてプログラムに参加するのも、最初のきっかけとしてはいいのではないでしょうか。
普段とは異なるビジネス経験ができますし、参加してみて思ったように貢献ができなくとも、
自身の経験としてマイナスなことは何もありません。むしろ新しい環境に身を置くことが今後のキャリア形成にもプラスに働いてきます。
事業を成功させるために本気で取り組んでいる優秀な経営者と一緒に働くことに魅力を感じる方は、
挑戦をして損はないと思います。
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Co-foundersは、国内最大級のテクノロジー領域のアクセラレーター Beyond Next Ventures株式会社 が運営をしています。
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